ことば

COLUMN

「わが街わが友 豊洲4」東京新聞 2010年12月1日付朝刊

ぼくは、恋愛話が苦手だ。好きな女の子のタイプと聞かれて『ウーン、やった女の子がタイプです』と深みもひねりもない雑な言葉を返したことがある。

つい先日もNHKの朝の生番組で同じ質問を受け、思わず『優しくて時々淫乱な子』と言い放ってしまった。

正直そう思っているので大きな反省も後悔もないのだが、まあ男にとっては、本音かなと感じている次第だ。

 

さて今回は、気恥ずかしさもあるのだが、女房のことを書こうと思う。

『ゲゲゲの女房』の松下奈緒さん演じる布三枝さんのように、ぼくも女房にそれなりの苦労をかけてきた。

ぼくの選んだ道は、アングラ演劇、もちろん経済的にも大変だった。しかし、女房は文句も言わず共に歩んでくれた。

ぼくは、自分の人生を波乱万丈で括るのは好きではない。

自分が選んだことで味わう苦労なのだから、それなりの覚悟を持つべきなのだ。人に言うべきものでもない。

 

では昔話をしよう。

1973年、女房とは友人の紹介で出逢った。舞台女優だった。

初めて会った時、ミニスカートに真っ赤な革ジャンを着ていた。

山の手の香りがする垢ぬけた東京の女の子という印象だった。

 

つきあい始めて、すぐに実家に招待された。

ご家族を紹介してくれるというのだ。かなりドキドキしたことを今でも覚えている。

東西線・門前仲町からバスに乗り、東雲橋入り口で下車。そこはイメージした山の手ではなく、正真正銘のザ・下町。

しばらく歩くと巨大な工場群が見えてきた。

貨物専用の引き込線が交差する三角地帯、そこに小さい玩具みたいな一軒家がポツンと建っていた。

まさか、これが実家!?そこは江東区豊洲。