ことば

COLUMN

ハモニカの味 第2回「また今度、の日々」

北海道放送五〇周年記念ドラマの収録で一ヵ月ほど、札幌。旭川に滞在した。地方局制作のドラマ出演は、ぼくにとって初体験だった。

うだつの上がらぬ札幌の弱小ヤクザ集団の情けなくて悲しくて……しかし可愛くて憎めない人々の右往左往。主演は、組長の西田敏行さん。組員に小沢征悦さん・出川哲朗さん・若頭のぼく。そう、たった四人しかいないヤクザ屋さんのオマヌケなお話なのだ。

撮影が終わった後、よく共演者の方と呑みに行ったりしますかと聞かれることがある。ぼくの場合、東京での撮影の時は、ほとんど呑みに行かない。現場では、いろいろとお話はするが、番組の打ち上げ以外に呑みに行く機会は意外と少ないものだ。明日の準備や他に抱えている仕事など、やらなくてはならないことで〈ひとり〉に散っていく、それが現状だ。

「また今度ゆっくり会いましょうよ!」。よく耳にするセリフだ。そのほとんどは儀礼としての挨拶言葉と考えた方がいい。〈また会う〉に実現を経験したことは、あまりないのだ。よってそういう約束はしないし、また挨拶言葉も吐かないようにしている。もし、〈また〉があるとすれば、撮影現場で〈また会う〉ということだと、ぼくは考えている。

しかし、これが地方ロケとなるとそんな過ごし方がいともたやすく崩れてしまうのだ。では、なぜ崩れてしまうのか。僕の考えでは、宿泊。そう、ホテルにあると考えている。〈ねぐらが一緒〉、これは大きいぞ。だって逃げも隠れもできないのだから……いくら撮影が先に終わっても帰る場所は、そこにしかないのだ。

「あっ、大杉さん。西田です……今日の夜……ススキノ……小沢くんも出川くんも……ねっ……カニとか……ほらほら炭火のジンギスカン……きゅっとね、札幌だし……ビール? 七時ロビー集合ということで……どう?」

「あっ……も、もちろん……必ず行きます。七時ですね」

浮き足立った身も心も六時五〇分には、すでにロビーにあった。

呑んだ。そして、また呑んだ。

カラオケなんてめったに行かないのに唄って踊って、またまた呑んだ。西田さんのフランス語バージョン「与作」に感動(Artだ!)、小沢・出川両君の人柄にも打たれた。幼なじみのガキンチョのようにぼくたちは、そこにいた。

別れ際、西田さんが「ね、また?」とはにかむように言った。「もちろん、また!」。アカペラグループのようにぼくらは三人、ハモっていた。

ほぼ一ヵ月、ぼくらは〈また〉の日々を繰り返した。約束なんかしなくても悪童四人衆は、誰彼なくロビーに集まる夜光虫と化していた。地方ロケの醍醐味ここにあり! ではまた!!

 

・「音楽と人」2001年7月号掲載