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COLUMN

俳優・大杉漣が選ぶ① あの映画のこのシーン『アベックモンマリ』

僕は、恋愛を語ることが苦手だ。

映画を語ることと同じくらい難しいと思っている。

両者とも”する″ものであり、″味わう″ものであるように思われるからだ。

『アベックモンマリ』。2組の夫婦が織り成す奇妙で微妙な四角関係を圧倒的な″無駄話″で描いた日本映画だ。

叙情に走る恋愛映画はたくさんあるが、″アベモン″には大きな事件も甘いささやきもない。

本質をなにひとつ語らずして本質を見せる…、人間って小さい存在なんだなと感じてしまう。

それゆえに、こっけいで、いとおしいのかもしれない。

終盤、鎌倉のアトリエに4人が集合するシーン、真剣に話せば話すほどカン違いが生じて、どんどん本筋からズレていく…その大いなるくだらなさがたまらない。

″アベモン″は、″見る映画″ではなく″味わう″映画だ。

 

・小学館「ドマーニ」2000年4月号掲載

 

『avec mon mari アベックモンマリ』(1998年)

監督・脚本:大谷健太郎

出演:小林宏史/板谷由夏/辻香緒里/大杉漣

青山シアターにて配信中 https://aoyama-theater.jp/pg/3932