ことば

COLUMN

連載15「映画は、現場で起きてるんだ!」2000年4月23日号

 現在公開中の映画「スペーストラベラーズ」の本広克行監督。大ヒット映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」の後ということもあり、監督ご自身のプレッシャーは大変なものだと思う・・・・・・にもかかわらず「スぺトラ」の現場は、実にのびのびとしていた。撮影現場の空気・雰囲気は、監督の”人柄”に反映されるものだとつくづく感じる。自分の出番は終わっているのに帰ろうとしない俳優、きっと彼・彼女がどんな演技をするのか気になるのだろう。また撮影日でもないのにプラーッとセットに顔を出す俳優。それもこれも仕事以上のかかわりを・・・・・・”映画”によせる思いがそうさせているのだと思う。
「笑って、泣いて・・・・・・基本としてはコメディーを撮りたいんですよね」。監督はそう言った。おふざけじゃない真剣なコメディー。とてもやりがいのあるジャンルだと思う。ぼくの出番のほとんどは、銀行の金庫の中でのガッツ石松さんとのシーン。ややもすればやりすぎてしまう2人をギリギリのところで演出してくださった。フィクションには違いないが、それでも現実味のあるおかしさだ。きっとこういうことだと思う。<うん、あるよ・・・・・・あるあるこういうこと>。
 本広映画の大きな特色として音楽の使い方がある。時に静かに、時に劇場が渦巻くほどの大音響。監督は「大きな音の時にはちょうどお尻が痛くなる時間なので座り直してもらったり、お菓子を食べたりしてくれるといいんですよ」と言う。つまり、多少は音を立ててもいい時間なのだ。監督は、そんなことまで計算しているのだ。ガッツさんとぼくのシーンに音楽はなかった。ということは<じっくり、観て下さい>ってことかな?
 別れ際、監督に伺った。「監督、どんな映画が好きですか」
「うーん、『ブルース・ブラザース』です」・・・・・・またお会いできる日まで、ちょっと別れておきますか。