ことば

COLUMN

連載38「ロケーション」2000年10月15日号

 TBS金曜ドラマ「真夏のメリークリスマス」の撮影が始まった。
 以前からお仕事できればと願っていた植田博樹プロデュース作品だ。「ケイゾク」「ビューティフルライフ」など、注目のドラマをたくさん手掛けている方だ。現在letter2(2話)まで撮り終えている。今後どのような展開になっていくのか出演者本人もわからないが、手応えのある作品になる予感がする。
 連ドラはスタジオにセットを組んで撮影することも多いが、「真夏―」はほとんどロケーション撮影となっている。映画の撮影ではロケーションは当たり前のことだが、テレビでは珍しいケースだと思う。時間的制約や天候のことを考えればスタジオのほうが撮影はスムーズに進む。しかし、そこをあえてロケーションにこだわるところに、このチームの意気込みを感じるのだ。
 ぼく自身、スタジオよりも外のロケーション撮影のほうが圧倒的に好きだ。それは、これまでぼくのやってきた作品のほとんどがロケーションであることが大きいと思う。外気を吸う・風を感じる・ペンキで描かれた書き割りでない街、日常の中にこの身体をさらしてみる。ほら、見えてくるでしょ、よりリアルな虚構の映像世界が……ちょっと大げさだろうか。ぼくは自分のことを<ロケーション俳優>と勝手に呼んでいる。
 さて「真夏―」だが、主演は竹野内豊さんと中谷美紀さん。お二人とも仕事をご一緒させていただくのは初めてだ。ぼくの役は、竹野内さん演ずる<涼ちゃん>につきまとう元ボクサーのヤクザ。爬虫類のにおいのするイヤーなヤクザになるといいなぁと考えているのだが。
 先日、夜の繁華街で撮影をしていたら、1台の外車がぼくらの前に急停車した。
 「おいこらぁ!ここでなにやってんだよ!!」
 どこから見ても撮影でしょ。
 「誰が出てんだよ、これテレビか映画か?いつ放映するんだよぉ!」
 アッ、見るつもりなんだ!
ぼくには絶対に出せない本物の凄みが、なんとも怖く可愛かった。やっぱり撮影はロケーションだ!