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COLUMN

連載40「しんゆり映画祭」2000年10月29日号

 「しんゆり映画祭」に参加した。「しんゆり」とは、神奈川県川崎市にある町、新百合ヶ丘の略であり、映画祭は今年で6回目を迎える。
 上映作品はサブ監督「MONDAY」。監督の4作目で、現在海外でも公開されている作品だ。今回は、サブ監督がシカゴ映画祭に招かれているために、その代理として参加してもらえないかとのこと。もちろん喜んで出かけることにした。
 映画祭の前日にサブ監督から電話があった。
 「大杉さん、ぼくも行こうかと思っていまして・・・・・・」
 「あれ、シカゴじゃないんですか」
 「シカゴに行くのが少し延びたから行けそうなんですよ」
 「じゃあ監督、当日まで参加できることを内証にして、飛び入りでお客さんをびっくりさせるというのはどうでしょう!」
 子供のワルダクミのように、ぼくたちは計画を練った。
 そして当日、小さな決意と共に映画祭事務局に向かった。
 「今日サブ監督が来ているということを観客の方に内証にしていただけませんか。ぼくが舞台挨拶の途中で紹介しますから」
 「わかりました。お客さんもきっと喜んでくれますよ」
 スタッフの方たちもぼくらの計画の共犯者になった。
 「MONDAY」の上演が終わり、いよいよ舞台挨拶だ。ぼくらはスクリーンわきの控室にスタンバイした。場内アナウンスが流れ始めた。
 「本日は、ご来場いただきましてありがとうございます。それでは本日のゲスト!サブ監督と大杉漣さんを紹介します」
 エエッ、なんで・・・・・・!
 ”今さ、サブ監督って言ったよね‘’ ’’うん、言ったね‘’
 舞台に出て行くと、司会の方が困ったような顔をしていた。緊張して監督の名前を先に言ってしまったのだ。ぼくと監督は’’大丈夫’’と目配せした。だってお客さんはこんなに喜んでくれてるんだから!
 映画祭は手作りだ。スタッフは市民や学生のボランティアで運営されている。参加した理由を聞いてみると、彼らは「映画が好きだから」と答えた。これ以上の答えはないだろう。感謝をこめて言わせてください。
「お疲れさま!」