ことば

COLUMN

連載44「高橋陽一郎監督」2000年11月26日号

 NHK大阪局から1枚のFAXが届いた。
 高橋陽一郎監督作品「日曜日は終わらない」が、シカゴ国際映画祭で国際映画批評家賞を受賞!との知らせだった。
 この作品は今年のカンヌ映画祭でも公開されているのだが、もともとNHKハイビジョンドラマとして撮影したものを35ミリフィルムに変換して、映画祭に参加したものだった。
 勤めていた会社を突然解雇され、離婚した母親の再婚相手となった男を衝動的に殺してしまう一人の若者(水橋研二)が、実の父親の力を借りて再生していく。その姿を乾いたタッチで描いたドラマだ。ぼくもリストラされた行員役で参加させていただいている。
 本来、テレビドラマとして制作されたものだが、高橋組の現場の雰囲気は<映画>そのものだった。
 オールロケーションゆえの過酷なスケジュールにもかかわらず、そこに参加したスタッフや俳優の顔が、じつにイキイキとしているのだ。
 「絶対、ええもんにするでぇ」
 という思いが、こちらにも伝わってくる。こういう現場は、仕事とはいえ楽しい。撮影現場で大切な<緊張と自由>がそこにあるからだと思う。
 実は、高橋監督の作品が賞を受賞したのは今回が初めてではない。
 2年前に、やはりNHKハイビジョンドラマとして制作された「水の中の八月」(原作・関川夏央)が、ギリシャのテサロニキ国際映画祭でグランプリを受賞しているのだ。
 両作品で共通することは<家族>の崩壊と再生だ。人に対する高橋監督のまなざしは、どこまでも厳しくやさしい。
 ぼくは思う。全国どこに行っても立派なホールがある。そして優れた日本映画もたくさんある。気楽な思いつきでいいのだ。映画上映の企画がどんどん増えたらいいなと!