サンデー毎日 連載コラム
この連載も今回が最終回になりました。とにかく一年間書き続けることを目標にやってきたのですが、そんなささやかな目標でも実現していくことがどれだけ大変だったか、身をもって思い知らされた感があります。 俳優にとっては演ずる […]
「大杉さん、プレゼンテーターの依頼が来てるんですけどぉ」 「ええっ、映画祭のですか」 「いいえ、それが・・・・・・」 高岡マネジャーは、もったいぶった笑みを浮かべて、なかなか本題に入ってくれない。 「ええっとね […]
「大杉さん、すごいですねぇ。16本でした」 「あっ、そうですか」 雑誌の編集者に教えていただいた。ぼくが今年出た映画の本数だ。1月の黒沢清監督「カリスマ」で始まり、12月に公開される石井克人監督「PARTY7」で終 […]
「なんだこのタイトルは!」とお思いの方もいるだろう。「ハハァ、あの映画でしょ」と思われた方は、かなりの日本映画通に違いない。近くのレンタルビデオ屋さんでは、ポルノコーナーではなく、日本映画の<CULTコーナー>にひっそ […]
<劇の戸口は、追われてきたものがたどり着くところであるといえる。彼は彼の個体に抑圧を加えるものたちから追われるように、どのような経緯をたどってか、ここへやって来る。(中略)劇はまずはじめに人間の不健全がたどる方法である […]
「大谷君、ちょっと寄っていきたいところがあるんだけど」 「いいですけど。大杉さん、疲れているのに大丈夫ですか」 「うん。大谷君に味わってもらいたいものがあるんだよね。昔、ここに住んでたんだ」 渋滞の中をゆっくり走 […]
NHK大阪局から1枚のFAXが届いた。 高橋陽一郎監督作品「日曜日は終わらない」が、シカゴ国際映画祭で国際映画批評家賞を受賞!との知らせだった。 この作品は今年のカンヌ映画祭でも公開されているのだが、もともとNHK […]
12年前、森崎東監督「ネコババの女」であこがれの殿山泰司さんと共演させていただいた。穏やかに暮らしていた家族の崩壊と再生を、弱者の立場からとらえた森崎東監督らしい作品だ。 当時のぼくは、テレビドラマの撮影に慣れていな […]
ソウルオリンピック記念芸術祭に参加するために、慌ただしい毎日を劇団(転形劇場)で過ごしていた1988年の夏。 「大杉さん、電話」 「だれから・・・・・・?」 「近代映画・・・・・・なんとかって」 ささくれだった […]
3年前に「雷魚」という映画が公開された。実際にあった事件をモチーフにした作品で、生々しい人間の暗闇がそこにあった。見終わった後のささくれたような皮膚感覚を今でも覚えている。廃墟のようなコンビナートの街、テレクラでしか自 […]